--- 社団法人日本山岳ガイド協会 設立趣意書 ---


 日本における登山人口は、約1、000万人ともいわれるようになった。 海岸線から内陸に向けての大部分が山岳地形であるという、日本の自然環境の特徴と、近年とみに盛んになった、中高年層を中心とする登山および山岳旅行の活性化が要因であることは容易に想像できる

 一方では、これらの登山人口の大多数が未組織者であり、いわゆる学校体育、職域や地域団体等々に属するものでないことが明白であり、現在までの登山団体、組織、指導者に直接係わるものでないことも理解されるようになった。
 現状では、これらの未組織者に対する啓発、研修、遭難事故対策等々の整備が遅れ、長野県等に象徴される山岳県においては、遭難事故者の大部分が未組織登山者であることも報告されている。 優秀な指導者、引率者不在のものから山岳ガイドを同行せしめないものまで、中高年層が中心であることも相まって、過去には例を見ないような遭難事故例が増加している。
 また、青少年の教育現場においても、自然体験活動や総合学習の分野での野外活動が再注目され始めており、近い将来、この分野における引率人およびガイドの需要は、全国的に益々多様多岐に渡るものと想像される。

 他方、旅行および観光業の分野からは、現代日本の経済環境の中で比較的堅調な付加価値を持つ方面としての登山・ハイキングツアーやエコツアー等々が注目され、山岳や自然環境への造詣なくして募集をおこなうものが増加の一途をたどっている。
 このことが本来必要なはずの登山技術や野外活動における原則等を学ばずして、安易に登山自然体験をする人々を増やしているものと認識できる。

 このような状況に鑑み、且つまた優秀な指導者、付添者の養成への受け皿のひとつとして、本邦での山岳ガイドの社会的な役割を尚一層提起するものである。 山岳ガイドの養成と、安全性の高い登山及び自然体験についての共通認識の確立は1、000万人を超えんとする登山、自然愛好者を目の前にして、急務の課題であることは、広く社会の理解を得られるであろう。

 1971年の設立、運営されてきた「社団法人日本アルパインガイド協会」は全国団体であり「日本山岳ガイド連盟」を合併し、より発展的で社会的な基盤と、本邦における山岳ガイド並びに自然ガイドの養成・認定の水準を確立するため、新たに「社団法人日本山岳ガイド協会」として再スタートするものとなった。


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